ことば一覧
25語 収録
桜の花びらが風に舞い散る様子。雪が吹雪くように花びらが舞う情景を一語で表す日本固有の表現で、散ることの美しさを肯定する感性が宿る。
守りたいほどかわいく、胸に迫るような愛着の感情。愛情だけでなく、哀れみや切なさが混じり合った複雑な「愛でる」気持ち。
夏の地面や空気が熱せられてゆらゆらと揺れる現象。視覚的な揺らぎの美しさと、触れようとしても掴めない儚さを内包する自然語。
木の葉のあいだから差し込む、やわらかくゆらめく陽の光。自然と光が交わる、一瞬ごとに形を変える美しさを指す。
時間・空間・人間関係に宿る「空白」。音と音の間、言葉と言葉の間——その余白そのものに価値を見出す、日本固有の感性と概念。
眠りと覚醒のあいだで、うとうとしている状態。完全に眠ってはいないが、意識が曖昧になり、現実と夢の境が溶けはじめる時間。
思うようにいかない焦れったさ。伝えたいのに言葉が出ない、動きたいのに動けない——内側の力と外側の壁がぶつかる、静かで切実な感覚。
万物に感じるしみじみとした情趣。平安文学が培った日本の美的理念で、美しいものの儚さに心を動かされる感受性そのもの。
意識・視界・記憶などが霧がかかったようにぼんやりとした状態。「ぼんやり」より深く、「たゆたむ」より身体的な霞みを指す。輪郭が溶けていくような感覚。
すっきりしない、心に霧がかかるような感覚。原因を言語化できないまま、胸の内にくすぶり続ける不明瞭な不快感や引っかかり。
すべてのものは常に変化し続け、永遠に同じ状態を保つものはないという仏教の根本概念。散る桜を美しいと感じる感性の根底に流れる認識。
過去の記憶・場所・人・物事に触れたとき、胸があたたかくなるような、甘くせつない感情。単なる「懐かしさ」ではなく、愛しさと切なさが混ざり合った感覚。
記憶の中に残る人や場所の姿・面持ち。目の前にいないのに、意識の中にふと浮かぶ像——現在の感覚に混じり込む過去の残像。
きわめて短い瞬間のこと。仏教の時間論に由来し、一瞬の中に全てが凝縮されているような感覚を含む。
胸が締め付けられるような、甘くて苦しい感情。悲しみと愛しさが交差するところにある感覚で、ただ悲しいのとも、ただ嬉しいのとも違う。
水や空気の流れに身を任せて、方向を持たずに浮き移動する状態。心や意識が一つの場所に定まらず、ゆっくりと移ろいでいるさまにも使う。
夕暮れから夜への移行期の薄暗い時間帯。また比喩的に、盛りを過ぎて静かに衰えていく時期。語源は「誰そ彼(たそかれ)」——顔が見分けられないほど暗くなった空の下の時間。
水や空気の中でゆらゆらと漂うこと。また、気持ちや意識が定まらず、静かに揺れている状態。「迷い」よりも穏やかで、否定的でない曖昧さを含む動詞。
ほんのわずかな時間。単なる「短時間」ではなく、過ぎ去る早さを惜しむ感情が溶け込んだ時間語。短いから美しく、美しいから惜しい。
水面に浮かぶ泡のこと。またそこから転じて、はかなく消えるものや出来事の比喩。美しさと消えやすさが同居した語。
ゆっくりと変わり移り、もとの姿を失っていくこと。季節・感情・色・時間が少しずつ変化していく様子を指す。変化そのものを美として捉える語。
不完全さ・質素さ・時間の痕跡のなかに美を見出す感性。欠けていること、古びていること、そのままであることを愛でる日本の美意識。
どうにもできない苦しさや悔しさが、出口を失ったまま胸に残る感覚。「悲しい」より重く、「腹立たしい」より静かな、やり場のない感情を指す。
音・出来事・感情などが終わったあとも、しばらく心や空間に残り続けるもの。消えていく途中の、美しい尾を引く感覚。
夕方、海と陸の風が入れ替わる境目に生じる、一時的な無風状態。海岸や平野部の夏の夕方に特有の現象で、世界が息をひそめるような静けさを持つ。